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令和3年度 東京都立西高校
推薦選抜にもとづく作文問題
次のことばについて、あなたが感じたり
思ったりすることを六百字以内で述べなさい。(50分)
「ドアをあけると風が私を待っていた。
だから私は、黙って風に自分を預けたのだ……。」
(黒井千次)
解答例
https://note.com/polly82jp/n/n12b98515530d
こちらの記事も読んでおきましょう!
・都立西高校推薦作文問題の極意
https://doctor-of-philosophy1982.amebaownd.com/posts/630159
・都立西高校 推薦入試作文の肝
https://doctor-of-philosophy1982.amebaownd.com/posts/2930969
解答への導き
令和3年度の都立西の推薦作文では、黒井千次の小説『風の絵本』(講談社、1974)の一文から出題されました。黒井千次は小説家であり、都立西高校の出身です。例年、科学者や数学者、思想家のことばが出題される中で、小説家のしかも小説からの出題は初ですね。令和2年度の池上彰からわずかですが、出題の趣向が変わってきているといえます。とはいえ、例年どおり、与えられた言説から何を考え、何を語ることができるのかが見られる試験となっている点は変わりません。
ステップ1 課題文分析し、論点を提示する
この黒井千次の小説からの一文において、まず「風」という言葉が擬人的に用いられていることに注目しましょう。そのうえで、まず一般に風という言葉が何を指すのかを確認したうえで、擬人法をもって表現されるこの文において、「「風」が何を象徴しているのか」という論点を提示します。
ステップ2 課題文を解釈する
擬人的に表現された「風」という言葉が何を象徴するのかをじっくり考えてみてください。ここがこの問題を攻略するうえで非常に重要なポイントになります。この「風」という言葉をどのように解釈するかによって、解答の方向性が異なってきます。
一般に風とは自在に運動する空気の流れです。また、風は目には見えないものであり、感じられるものです。そして、この文では「風に自分を預ける」と表現されており、自分のあり方を委ねるものとして表されています。したがって、自分のあり方に関わるものとしての「風」とは、何を意味するのかと考えを展開することができるとよいです。
自分がどうあるのか、自分がどうありたいのかを決定する要素として重要なのは、人間の「意志」です。したがって、模範解答ではこの「風」を、「ドアをあけた「私」が自分らしく生きようする意志を象徴している」と解釈しました。みなさんも自分なりの解釈を生み出してください。
さて、上記のように「風」について解釈ができたら、その解釈に基づいて「風が私を待っていた」や「黙って風に自分を預けたのだ」といった表現についてもどのように解釈することができるのか、説明します。そのうえで、黒井のことばは全体として何を意味しているのか、説明することができるとよいでしょう。
ステップ3 解釈にもとづきことばから何を感じたのか、思ったのかを説明する
全体としてこのことばをどのように解釈し、理解することができるのかについて説明することを示すことができたら、設問の要求に従って、最終的にこのことばから何を感じたり、思ったのか説明します。このことばから「風のように自由に生きることへの希望を感じる」といった自分なりの感じや思いを丁寧に表現しましょう。前向きなとらえ方や考えを示すことができるとよいでしょう。
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